論説委員の石井英夫、特別顧問の清原武彦。「産経新聞」がわが国に残したものは何か【適菜収】
【隔週連載】だから何度も言ったのに 第79回
■産経新聞は廃刊でいい
すでに述べたように、産経の劣化は今に始まった話ではない。
森友学園の決裁文書改竄問題を苦に自殺した財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫さんを巡る記事(2020年掲載)で名誉を傷つけられたとして、立憲民主党の小西洋之議員、杉尾秀哉議員が産経新聞社とライターの門田隆将に計880万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は計220万円の支払いを命じた(2024年3月に確定)。すごいのは、「両氏は近畿財務局や赤木さんに説明や面談を求めた事実はなかった」(共同通信)という部分。「事実はなかった」。つまり完全な妄想。でっちあげ。現実と妄想の区別がつかない陰謀論者の落書きと、それを掲載する産経新聞。完全に終わっている。
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2016年、保育所の待機児童問題などに関して、産経新聞のサイトでデマを垂れ流した杉田水脈。《子供を家庭から引き離し、保育所などの施設で洗脳教育をする。旧ソ連が共産主義体制の中で取り組み、失敗したモデルを21世紀の日本で実践しようとしているわけです》《旧ソ連崩壊後、弱体化したと思われていたコミンテルンは息を吹き返しつつあります。その活動の温床になっているのが日本であり、彼らの一番のターゲットが日本なのです》と述べていたが、2022年11月30日の国会で、「事実として確認できず、不用意な発言だった」と撤回。事実として確認できないことを社会に垂れ流す人間のことを一般にデマゴーグと呼ぶ。産経新聞はデマ拡散機でもある。
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2016年5月31日、産経新聞は、舛添要一の政治資金疑惑に関し、「民進調査チームも元検事起用 アドバイザーに郷原弁護士」と報じたが、郷原信郎本人が、「事実無根」と抗議。郷原によると、産経新聞から記事掲載前に連絡があり、「調査チームのアドバイザー就任の依頼は受けていない」と回答していたのに、コメントは無視されたという。取材してもこれなら、手の打ちようがない。
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2017年12月1日、沖縄自動車道を走行中の米海兵隊曹長が、事故で意識不明の重体となった。産経新聞は「曹長は日本人運転手を救出した後に事故に遭った」という内容の記事を掲載し、救出を報じない沖縄メディアを批判。しかし、琉球新報が取材したところ、米海兵隊は「(曹長は)救助行為はしていない」と否定し、県警も「救助の事実は確認されていない」とした。要するに完全なデマである。
なお、県警交通機動隊によると、産経新聞は事故後一度も同隊に取材をしていないという。
産経新聞那覇支局長の高木桂一は沖縄メディアに対し「これからも無視を続けるようなら、メディア、報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ」などと書いていたが、産経新聞こそ報道機関を名乗る資格はない。
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2023年には「今村裕の一筆両断 こんなに劣化したのか? 日本人の道徳心――お天道さまが見ている」という記事が話題になった。これは百田尚樹の文章を盗作したもの。ネトウヨのコピペ作家からさらに盗作するというカオス。「こんなに劣化したのか? 日本人の道徳心――お天道さまが見ている」というタイトルも、産経には笑いの神がついているようにしか思えない。
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ちょっと思い出しただけでもコレ。メディアの腐敗が国家の衰退に拍車をかけた。産経新聞はそろそろ廃刊でいいのではないか?
文:適菜収
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